金儲けではなく作品づくりに主体を据える、ノベルサウンズの新星マトリョーシカ。作曲手法が特に新しいわけではないが、その圧倒的な世界観を物語として編み込むセンスは無二である。それはまるで1つのファンタジーである。美しい音色に、多様なダイナミクス、アナログとデジタルを使い分け、壮大なアンサンブルを感じさせる作品になっていることが、そう思わせる理由かもしれない。例えるならば、生命と荒廃を行き来するような曲調である。あえてあげるなら、フーバーフォニック、ワールズエンドガールフレンドなどがこれに近い。が、マトリョーシカはマトリョーシカとしての確固たるアイデンティティを構築している。
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