たまたまテレビのチャンネルをいじってたら、THE BACK HORNがライブをしていたので驚いた。まさか普通のテレビ番組で彼らのライブが見れるなんて思ってなかったから。このようなアクの強い音楽性でここまで昇るのは快挙だ、と正直思うのであるが、「その事実」は非常に重要である。閉塞感漂う日本のミュージックシーンに対する風穴となるような、そんな直感を覚えた。大袈裟かもしれないが、THE BACK HORNとは、また、THE BACK HORNの奏でる音楽とは、そもそもそういう「質」のものだ。少なくとも今までは。
その番組というのが、「WEDNESDAY J☆POP」という非常にPOPなものであったことの意味は、もはや言うまでもないであろう。THE BACK HORNは、音楽性も確実にそうであるが、そのスタイルも明らかに変化させている。それは良い意味で、である。その変化によって骨格を失うどころか、表現の幅を広げることで、より骨太になっているとさえ感じる。語弊を恐れずに書くと、少しの「部分」を切り捨てながら、「全体」を手に入れていく、その手法は非常に上手くいっていると思う。
何を隠そう、THE BACK HORNには、かなりの影響をうけた口の人間である。ほとんどの作曲を手がけているのは、ギターの菅波氏だと聞いたことがあるのだが、アレらを生み出すことの才気に、少なからずの畏怖と羨望を覚えたものだ。とかく「人間」という存在やその人間が生きらざるを得ない「社会」というものに対して、肉薄するように並べられた言葉と音の混成物としての楽曲は、とても印象深く心に突き刺さる。残念な焼増しアーティストが多い昨今の日本音楽シーンにおいて、これからの活躍が楽しみなロックバンドの一つである。
進化している~などと云々言いつつも、やはり一番のおすすめとなると、メジャー1st.アルバムである「人間プログムラム」を挙げることになる。生々しい人間の奥深くにあるカオスが、音やハーモニーとして空気の振動に変換されたような1枚となっており、必聴である。これらはTHE BACK HORNの特徴的な音楽性とも言えるが、中でもとりわけ色濃く、かつ、曲の完成度が高いのがこの「人間プログラム」なのである。